令和5年6月吟行

~麻の古市の面影を辿る~

 安佐南区古市を歩きました。
 観光名所でもなんでもない住宅街ですが、古くは麻の産地として知られ、繊維業や、川の流れを活用した物流の拠点として栄えたようです。
 今も、わずかながら、その当時の痕跡が残っています。

 句会場でお借りした「麻乃亭」も往時の繁栄ぶりを示す場所の一つ。
 立派な蔵付きの邸宅が大切に残されています。
 古いものを大事に残す一方で、今はその諸室をギャラリーに活用したり、レンタルスペースとして貸し出したり、サロンを併設したりと、上手に活かしておられます。
 この日は店先で蒸しパンの販売もありました。英会話教室やハープのサークル等、楽しそうなイベントが定期的に開催されています。また機会を作って訪ねたい場所です。

  
 俳句が生まれる瞬間に立ち会うことができるのが「吟行」です。初心者の方には特に、吟行への参加をお勧めしたいと思っています。
 日常を離れてちょっとだけ遠出して詩作に耽る「大人の遠足」に、参加してみませんか。

梔子がよく香っていました。

夏座敷朱塗りの欄間鶴遊ぶ      瑠美子
玻璃窓の古きを愛でて昼寝せむ    新治
路地裏の石畳より夏の草       英子
捨てられぬ昨日今日明日七変化    千惠子
柿若葉扉閉まらぬ桐箪笥       奈央子
傘さして日差しを避けてミニトマト  康明
「麻乃亭」の古灯籠や青葉風     あつ子
梅雨晴や句友誘ふ麻乃亭       苦楽
夏雲を仰ぎ見るかな眼のまぶし    はるか

2023/6/24