令和5年7月定例句会

兼題「鵜」

烏のような黒や緑黒色の羽毛に覆われたウ科の鳥で、嘴が長い。潜水が巧みでよく魚を捕らえる。河鵜・海鵜・姫鵜などがある。河鵜は現在、繁殖地が激減しているが、海鵜は北海道から九州までの沿岸や小島で繁殖する。鵜飼に使われるのは海鵜。
(合本俳句歳時記第四版より)

全国各地で大雨の日が続いていますが、句会の日は晴天に恵まれました。まさに梅雨晴間。梅雨明けが待たれます。

今回の兼題は「鵜」。行事としての「鵜飼」ではなく、川や海にいる鵜を詠むこととなっていましたが、なかなか難しかったです。
どうしても鵜飼の鵜を連想してしまいますね。

広島では三次、山口では岩国で鵜飼を観ることができますので、その体験を詠んだメンバーもいましたが、中には日ごろから川にいる鵜をみていて、身近に感じている人も。

歳時記で季語を知ることも大切ですが、やはり実物をみたり体験したりすることが、季語の本質を捉えるためには必要なようです。

海鵜

主宰の句

鵜の翼広げても翔つつもりなし  日差子

主宰特選句

朝風や墨より黒き鵜の尾羽      新治

ほうたるや別るるために巡り逢ひ   晶子

遠雷や轆轤を回す指跳ぬる      あつ子

互選高得点句

ほうたるや別るるために巡り逢ひ  晶子

檳榔子黒に調ふ河鵜の夜      裕之

その他のメンバーの句

うつすらと魚呑むときの鵜の泪   瑞憲
蒸しパンの気泡の丸み梅雨晴間   奈央子
これからの家族史紡ぐ新居涼し   瑠美子
太田川ゆたりと川鵜身を任せ    はるか
青鷺の超然と立つただ一羽     康明
父の日や戦死の父は吾を知らず   苦楽
辣韮漬傘寿の友は腕まくり     英子
朱の椀の一汁一菜花蜜柑      千惠子
夏蝶に触るる自転車下り坂     明恵
荒鵜の声鵜匠館に響きをり     孝女
桃白黄咲き揃ひたる百合の花    五郎

2023/7/2