令和5年9月定例句会
兼題「踊」
盆踊のこと。盆とその前後に、広場や社寺の境内、砂浜などで行われる。本来先祖の供養のためであったものが娯楽になり、浴衣がけの男女が音頭にあわせて夜の更けるのを忘れて踊るようになった。土地によっては町の中を歌い踊りながら練り歩くのもあるが、普通は輪踊が多い。
(合本俳句歳時記第四版より)
まだまだ暑い日が続きますが、朝夕の空気には幾分か秋を実感できるようになりました。
今月の兼題は「踊」。
近年はコロナ禍の影響がありましたが、今年は行動制限のないお盆。数年ぶりの開催となったところも多かったのではないでしょうか。
私の住む地区でも、数年ぶりに盆踊大会が開催され、大きな踊りの輪ができていました。小さな子ども達からベテランの踊り手まで、一緒に輪になり踊る光景は、今後も続いていってほしいなと思います。
メンバーの句には、昔々の自身の思い出を詠んだむものも。それぞれの家族や地域とのつながりを、一句から垣間見ることができました。



主宰の句
踊るより夜風に踊らされゐるや 日差子
主宰特選句
富士壺のぎらぎら尖る処暑の風 新治
葉隠れの紺の勾玉秋茄子 裕之
三味線に酔ひませ島の盆踊 明恵
互選高得点句
蕎麦を切る一打一打や秋気澄む 瑞憲
その他のメンバーの句
手をつなぎ歩きし道のあかのまま 千都子
口笛の吾子の登校休暇明く 苦楽
闇はらひ指先くねる踊かな 晶子
七色の付箋の聖書秋初め 啓子
盆踊知らぬ子の帯締め直し 英子
子規庵の畳を撫づる子規忌かな 瑠美子
見送りて連れ添ひ戻る盆の月 千惠子
やはらかな声はアルトや虫集く 奈央子
鯖雲のざわつき一機見え隠れ あつ子
薬学の生徒探しぬ鳥兜 孝女
終戦日の長きサイレン黙祷す 康明
踊り手の若さ漲る舞台かな はるか
初秋のかげろふ揺るる貨物車よ 五郎