令和5年10月定例句会

兼題「敗荷」

蓮池や蓮田一面を覆った大きな葉が晩秋、風などで吹き破られた景は無残である。
(合本俳句歳時記第四版より)

10月に入り、一気に朝晩は冷えるようになりました。
しかし晴れると昼間は汗ばむほど。気温差に体調を崩しそうになるのを踏んばって耐えています。

今月の兼題は「敗荷」。「やれはす」と読みます。
枯れているわけではない、しかし青々とした力強さは失っている、微妙なところを突いた季語です。
蓮畑が見られるところも限られていて、なかなか苦労しました。

歳時記の例句を見ると
 敗荷の風いろいろに吹きにけり  岸田稚魚
 ふれ合はずして敗荷の音を立て  深見けん二
 破蓮の葛西や風のひゞきそめ   水原秋櫻子
など、風と取り合わせた句が目立ちました。
植物ではありますが、動きのある季語なのですね。

敗荷の一歩手前ぐらいでしょうか

主宰の句

縁取りは残照のいろ破れ蓮  日差子

主宰特選句

白菊や風ジグザグに島の路地   新治

常連と呼ばれて久し煎り零余子  啓子

敗荷に騒がしき雨来りけり    新治

互選高得点句

ジャイアンのいない空地の猫じやらし  あつ子

その他のメンバーの句

朝寒や灯る隣家の厨窓       奈央子
流星やあまねく空は桔梗色     晶子
犬もまたすこやかに老ゆ敬老日   英子
三角と四角の積み木小鳥来る    千惠子
鰯雲つれもていこら南紀旅     千都子
揺るぎなき雄蕊の反りや曼珠沙華  苦楽
最後までへたれぬ鍋の茸かな    瑞憲
いつの間にいつもの沼の破れ蓮   瑠美子
今宵もし最後の晩餐なら葡萄    明恵
生き生きて倒れ伏したる破れ蓮   裕之
葛の花ほつたらかしに咲き誇り   康明
今一歩夢膨らむも破れ蓮      五郎
友の苞切りて並ぶる梨の白     孝女

2023/10/1