令和6年3月吟行

~志和口駅の新駅長(正確には就任直前)にご挨拶~

 JR芸備線・志和口駅に駅長・副駅長が就任する運びとなりました。
 といっても、ここは無人駅。いまさら人が配置されるわけではなく「やまと」「ちどり」と名付けられた兄弟の猫です。

 志和口駅には、2012年から一匹の猫が住み着き「りょうま」と呼ばれて駅長猫として人気を博していたのですが、2019年に昇天。
 西日本豪雨で不通になったり、コロナで利用客が減ったりして芸備線が苦境に立たされる中、何とかしたいという地元の方々の熱意で、このたびの二代目駅長就任という明るい話題に繋がりました。

 訪れたのは就任式の前日。よく晴れた穏やかな日で、兄弟猫たちも愛想よく対応してくれました。
 (翌日の就任式のニュース映像を見ると大変な混雑だったようで、一日ずれてて良かったと思いました…)
 芸備線沿線の、のどかな風景にも癒された思いです。

 
 俳句が生まれる瞬間に立ち会うことができるのが「吟行」です。初心者の方には特に、吟行への参加をお勧めしたいと思っています。
 日常を離れてちょっとだけ遠出して詩作に耽る「大人の遠足」に、参加してみませんか。

陽春の小旅行でした

のつぺりと警笛の鳴る春田かな   新治
春の日の揺れにリズムや芸備線   奈央子
駅長は副業(ニャ)りと恋の猫      裕之
毛並み良き猫居る駅の黄水仙    千惠子
暖かや電車の揺れに友の声     千都子
沿線の吐息集めて山笑ふ      あつ子
おねだりの新駅長は春の猫     五郎
つちふるの車窓に川面きらめけり  明恵
「やまと」てふ猫駅長の春の声   晶子
はるばると白木散歩や春の風    はるか

2024/3/16