令和7年3月定例句会

兼題「椿」

ツバキ科の常緑高木の花。「椿」は国字で、春の事触れの花の意。中国で椿の字をあてる木は別種で、山茶と書くのが日本の椿にあたる。日本にもともと自生していたのは藪椿であり、それをもとに園芸種が多数作られた。八重咲きと一重咲きとがあり、鮮紅・淡紅・白色など色はさまざま。

(合本俳句歳時記第四版より)

木偏に春と書くツバキ。色合いが乏しい春先に、大きくて鮮やかな花はよく目立ちます。
なお、椿は松山市の市花になっているそうです。そういえば、道後温泉にも椿の意匠があちこちにありました。

この日は、見学の方が1名いらっしゃいました。
新しい方が加わると、物を見る角度が加わるので、以前からのメンバーにとって新しい学びになります。
ありがたいことです。

白い椿

主宰の句

くれなゐに濃淡あらぬ落椿  日差子

主宰特選句

しんと立つ青磁の壺や冴返る  明恵

本線と言へど単線地蟲出づ   千惠子

一輪は三和土に(まろ)ぶ椿かな   ⑦パパ

互選高得点句

三月に入るドアならバター色  明恵

野良猫に声かけてみる春日和  孝女

その他のメンバーの句

春寒や寝癖の画家とすれ違ひ    新治
磔刑のイエス目刺の眼には穴    苦楽
バラードのやうに恋せよ桜貝    晶子
藪椿嘴に花粉の黄をちよつと    裕之
婚約の祝のあした梅ふふむ     千都子
豆腐屋の豆腐ほろほろ溶けて春   瑞憲
ぼたん雪美し園児の声高し     あつ子
亀鳴くや三十一文字の恋心     恵実
野の椿夕風荒くなりにけり     英子
ふるさとの海と坂道藪椿      みなみ
紅椿居住まひ正し苔に落つ     瑠美子
門先の椿ほつこりご挨拶      はるか
大屋根をするりと落ちし春の雪   五郎
曇天の低きに昇る椿かな      琴美
チューリップ全部咲いたら鉢狭し  康明

2025/3/2