令和7年5月定例句会

兼題「葛餅」

葛粉を水に溶き火にかけたものを木枠の中に流し込み、冷やして固めたもの。三角に切り、蜜をつけ、黄な粉をまぶして食べる。冷たさと喉ごしが喜ばれる。亀戸天神や川崎大師門前の茶店の葛餅は古くから有名。

(合本俳句歳時記第四版より)

葛餅をWEBで調べると、小麦粉を発行させて作る関東風のものと、蕨餅に近い透き通った関西風のものの二種類が出てきます。
この歳時記の説明は、なんだか二つの合体版みたいになっていますね。

広島だと、三角の葛餅は、あまりお目にかかることがありません。地域性がある季語は、読み手にどう伝わるか、少し意識する必要もあるように感じました。

三角の葛餅は乳酸菌発酵によるものだそう

主宰の句

くず餅や元祖といふも名の誉れ  日差子

主宰特選句

故郷の山河健やか吹流し    あつ子

笑うては鳴らぬ口笛若葉風   新治

すみずみに長老のこゑ溝浚へ  新治

互選高得点句

薫風に飛ばす青墨一茶の句  あつ子

筍飯けんかの種を忘れたり  あつ子

その他のメンバーの句

荷の高き尾瀬の歩荷や風五月    苦楽
葉桜や知らず知らずに世は移り   千惠子
弱音吐く強さもありぬ藤の花    晶子
ラブレター貰ふ若葉の通学路    みなみ
夏の蝶フォークダンスの輪に入り  英子
大輪の薔薇咲く小さき地球かな   恵実
たらちねの肌のにほひや薄暑光   ⑦パパ
葛餅や風通し良き茶屋の席     千都子
満ち潮にのりてサップと黒鯛と   裕之
落椿この世に未練たつぷりと    香代子
手を伸ばす先に歓び初端午     明恵
遠足の児の童謡の終はりなき    瑞憲
葛餅やも一つ二つ思ふ口      五郎
落椿色残しつつ潔し        三穂子
巣立鳥もういいかいと軒離る    瑠美子
お帰りとナースに言はれ春惜しむ  孝女

2025/5/11