令和7年6月定例句会

兼題「小判草」

ヨーロッパ原産のイネ科一年草。夏、細い茎の上部に小判形のふわふわした小穂を多く下げる。花穂は初め緑色で、熟すると黄金色になる。鉢植にして、穂が風にゆれる風情を鑑賞する。

(合本俳句歳時記第四版より)

夏の初め頃、川土手などに大量に出ているのを見かけます。
あまりに数が多いので、取り立てて鑑賞するものでもないように思っていましたが、鉢植にする文化もあるのですね。

普段ならさっさと見逃してしまいそうな植物ですが、俳句にしようとすれば、そうはいきません。
一旦立ち止まって世界を見つめ直すことができるのも、俳句の魅力の一つだと思います。


この日は、5月末に亡くなった句友を偲ぶ会ともなりました。
明るく聡明で快活で、会の華のような方でした。
出会えたことが大きな財産だと思っています。
命の儚さと、縁の重さを、改めて感じました。

昔の人の名づけのセンスに脱帽

主宰の句

小判草姫の眠りし池の端  日差子

主宰特選句

玻璃を隔てて万緑とダリ展と  新治

風ぬるし縞蛇消ゆる森の黙   新治

泡を抱く琉球ガラス夏の雨   英子

互選高得点句

亘りゆく光の帯や麦の風     瑞憲

空豆や共に歩かば上向いて    あつ子

焼き捨てしはずの一通青嵐    あつ子

紫陽花の欲しがるままの夕の雨  ⑦パパ

その他のメンバーの句

幸福をそれと知らざり梅雨の星  千都子
かたつむり弟の手にのせてやり  恵実
水追うて駆けだす子らや溝浚へ  裕之
踏切の対岸に白シャツの群    明恵
行間の誘ふ吐息や赤き薔薇    晶子
短夜や推理小説謎解けず     香代子
母に聞く祖母の話やアマリリス  啓子
ふるさとはいつも心に朴の花   苦楽
この丘に風のメロディー小判草  みなみ
小判草雨に揺られてピアスめく  琴美
翠雨あとビルのあなたの影映す  三穂子
道端の大金持ちや小判草     五郎
戦なき八十年ぞ麦の秋      瑠美子
今咲くとばかりの蕾沙羅の花   康明
杖つくや蜥蜴一瞬走り出て    孝女

2025/6/1