令和7年6月吟行

~府中埃宮・府中歴史民俗博物館~

 広島市の中に、完全に取り囲まれるように存在している町、「府中町」。
 水分峡やイオンモール等が知られていますが、府中という名前のとおり、ここは安芸國の中心的な場所であり、古くから発展してきた歴史ある街でもあります。
 府中埃宮(えのみや)・多家神社は、神武天皇ゆかりの場所で、実は、厳島神社、速谷神社と並ぶ格式の高いところだそう。
 私も吟行を企画するまでは失礼ながら存じ上げないところでした。
 梅雨最中ではありますが雨には降られず、風が通れば心地よいような気候でした。
 新しくて綺麗な府中公民館の中には歴史民俗博物館があります。展示には結構力が入っているように感じました。

 俳句が生まれる瞬間に立ち会うことができるのが「吟行」です。初心者の方には特に、吟行への参加をお勧めしたいと思っています。
 日常を離れてちょっとだけ遠出して詩作に耽る「大人の遠足」に、参加してみませんか。

誰曾廼森(たれそのもり)の緑が美しく

きざはしは神代へ昇り夏至の風   あつ子
由緒説く僧ながながと梅雨じめり  裕之
梅雨雲や洗濯板に波もやう     明恵
拝殿の薄闇を混ぜ扇風機      新治
古代史の東征ここに蝸牛      苦楽
若楓招いて揺るる大社かな     千都子
梔子や句友としばし白愛づる    瑠美子
眼裏に亡き友消えずえごの花    晶子
風涼し階段登り古き宮       五郎
梅雨空に浮かぶ灯籠高き階     孝女

2025/6/21