令和3年10月吟行

~晩秋の三瀧寺~

 3か月ぶりに、"リアル"での吟行となりました。
 今回訪ねたのは、広島市西区の三瀧寺。中国三十三観音の第十三番札所や広島新四国八十八ヶ所霊場第十五番札所で、桜や紅葉の名所としても知られる名刹です。「駒ヶ滝」「梵音の滝」「幽明の滝」の3つの滝があり、参道の坂を上り下りするたびに表情を変える水音が訪れる人を楽しませてくれます。
 滝の名前もそうですが、その他にも、「補陀落の庭」「空点庵」「天狗杉」等、詩になりそうな言葉がたくさんあります。
 
 よく晴れた青空の下での吟行となりましたが、谷筋の境内は冷え冷えとしていていました。道端には、冬の季語でもある石蕗(つわぶき)があちらこちらに咲いていて、すでに冬の空気が匂っているようでした。その一方で、紅葉はまだこれからに期待、という状況でした。11月中旬からが見ごろでしょうから、その頃に再訪するメンバーもいるのではないでしょうか。

 句会場は、地元関係者のご厚意で境内の集会施設を借用。御仏の慈眼のもとでの句会となりました。

三瀧寺境内の三本の滝
青空の下で気持ちの良い散策ができました
境内の集会施設にて句会。仏さまに見守られながら…笑

三瀧寺に心の掃除もみぢ坂    五郎
秋寂ぶの峽の瀬音や「空点庵」  苦楽
死者生者共に合掌紅葉寺     晶子
秋冷やせせらぎにそふ手摺持ち  蓮女
歩を散じ句を案じゆく秋参道   千惠子
さやけしや童地蔵の笑み静か   瑠美子
うすもみぢ瀬音の翳る寺の昼   新治
秋の滝岩肌深くひび割れし    はるか
どんぐりのこぼるる径や観世音  あつ子
寂光の染み入る鐘や秋の寺    奈央子
一歩一歩登れば三瀧の紅葉寺   孝子

2021/10/23