令和3年11月定例句会
兼題「夜長」
秋分を過ぎると、昼よりも夜の時間が長くなる。実際に最も夜が長いのは冬至の前後であるが、夏の短夜のあとなので、夜が長くなったという感じが強い。夜なべに精を出し、読書に身が入るのもこのころである。
(合本俳句歳時記第四版より)
感染者数も県内で1ケタというところまで落ち着いてきました。空模様もこのところ穏やかで、なんとなく気が緩みがちですが、引き続き感染対策を行いながら、対面での句会を実施しています。
兼題の「夜長」について、上田日差子主宰から解説がありましたので、以下、引用します。
11月の句会の兼題は『夜長』でした。
その「夜」という言葉ですが、「よる」ではなく、「よ」と読ませます。
つまり…古くは
日の出〜日没が「日(ひ)」
日没〜日の出が「夜(よ)」
と2つに1日の時間帯が区切られていました。
夜は「よ」としか読まず、
「よる」は〈よ〉+接尾語〈る〉の組合せなんです。
和歌や俳句の世界では、「夜(よ)」でした。もちろん、現代では日本語としては「夜(よる)」は間違いではありません。詩歌の時だけ古き世を意識をして「よ」と読んでいただけましたらと思います。
というわけで、前置きが長くなりましたが、季語「夜長」は…「長き夜(よ)」「長夜(ながよ)」「夜(よ)の長き」などとも言い替えます。
日本語の調べを味わいながら句に親しみたいですね。
句会後は、11月21日のリモート公民館ひろしまLIVE2021の打ち合わせ等を行いました。
また、今回は、なんと4名の方が句会の見学に来られました!経験のある方、ない方、様々でしたが、選句選評にご参加いただきました。どのような印象を持たれたでしょうか。
広島ランブル俳句会では、俳句をご一緒いただけるメンバーを随時募集中です。
ご興味がありましたら、まずは見学だけでも、お気軽にお越しください。




主宰の句
長き夜の疑ひ深き詩のことば 日差子
主宰特選句
軍艦の慰霊碑釣瓶落しの日 晶子
踏切の音の鋭角冬に入る 苦楽
木犀の奏づる香り朝の辻 あつ子
互選高得点句
新米を計るに音の輝ける 新治
艶やかな掛け声響き走り蕎麦 晶子
踏切の音の鋭角冬に入る 苦楽
その他のメンバーの句
残菊や共に歩みし五十一年 瑠美子
長き夜や名言集に挿す栞 奈央子
いくたびも刻たしかむる夜長かな 蓮女
小説のヒロインになる夜長かな 千惠子
アルバムの断捨離ならぬ夜長かな はるか
啄まれ煽られなほも木守柿 瑞憲
かさこそと葉音しづかに行く秋や 京子
蜜柑山の無人売場や海青し 五郎
朝寒や後回しなる今日の計 孝子
長き夜やページの進む新刊書 孝女