令和4年5月定例句会

兼題「若竹」

皮を脱いだ筍はたちまち生長して親竹をしのぐほどになる。幹も葉もすがすがしい緑で、一目で今年竹とわかる。
(合本俳句歳時記第四版より)

行動制限のない大型連休となり、また、天候も良く、一部では賑わいも戻ってきた様子です。
反面、感染者数が再び増加に転じるのでは、という懸念も当然ありますが、いつまでも閉じ籠っているほうが体に悪いのでは、という気もしてきます。
とはいっても、基本的な感染対策は、新型コロナ以外の感染症への備えにもなると思って続けていきたいものです。


今回の兼題は若竹。
「筍」が伸びるにつれ、「竹の皮脱ぐ」「竹の皮散る」「竹の皮落つ」というふうにだんだん背が高くなり、「若竹」「今年竹」に成長します。また、「竹落葉」という季語もあります。歳時記を開くと、一つの季語から派生する様々な言葉に出会うことができます。こういう経験は、俳句ならではと言えるのではないでしょうか。


句会の楽しみの一つに、「自分とは異なる物の見方を知ることができる」というのがあると思います。
一人で黙々と句を作ることも良いのですが、人に鑑賞してもらい、違う気付きをいただけるのは、大いに刺激になります。
時には意見がぶつかりあって、熱くなることも、なくはないですが(笑)これもこれで、刺激になるものです。

句会の司会担当は、当番で回しています
西区の竹林

主宰の句

竹取の翁はいづこ今年竹  日差子

主宰特選句

水分けて佇む光水芭蕉      あつ子

若竹を揺するは空に触るるごと  啓子

菜の花を辿りてゆけば海の紺   千恵子

互選高得点句

けふ伯父となりたる吾や若葉風  新治

奥山の終の棲家や今年竹     苦楽

若竹やいつしか父の背丈越す   奈央子

その他のメンバーの句

骨壷に告白ひとつ花は葉に     晶子
被写体の犬も動かず芝桜      蓮女
さ緑の濃きも淡きも楠若葉     瑠美子
一年生重さ自慢のランドセル    孝子
恐羅漢山横走りして霹靂神     康明
若竹や青く伸び伸び節白く     五郎
天空に残る城垣松の芯       孝女
見上ぐれば空の青さやさくらんぼ  はるか
道を挟んでメーデーとアロハ祭   瑞憲

2022/5/7