令和4年5月吟行

~薄暑の御手洗地区~

 いつもよりちょっと足を延ばして、安芸灘とびしま海道を通り、「豊町御手洗伝統的建造物群保存地区」に出かけました。
 安芸灘大橋~蒲刈大橋~豊島大橋~豊浜大橋を渡り、大崎下島へ。
 瀬戸の海は波穏やかなことで知られますが、今日は一段と静かで、青く青く透き通っていました。

 江戸時代以降、御手洗は潮待ち・風待ちの港町として賑わい、現在も江戸後期から昭和初期の建物が数多く残っています。
 観光客の姿も見られましたが、混雑というほどではなく、どちらかといえば静かな街並みを歩いていると、令和の現世を忘れるよう。
 梅雨前の晴天に恵まれ、少し汗ばむような日和でした。

 大崎下島は、江戸期の俳人 栗田樗堂 (くりた ちょどう) が晩年を過ごした地でもあり、俳句の愛好家がたくさんいらっしゃるそうです。
 町中のいたるところに、俳句作品が掲げられていて、その熱を感じました。

 近年では、映画「ドライブ・マイ・カー」のロケ地としても注目されているようです。


 俳句が生まれる瞬間に立ち会うことができるのが「吟行」です。初心者の方には特に、吟行への参加をお勧めしたいと思っています。
 日常を離れてちょっとだけ遠出して詩作に耽る「大人の遠足」に、参加してみませんか。

風待ち・潮待ちの港町。青が美しい。

御手洗の路地に路地ある涼しさよ  奈央子
花街を飾る竹筒あやめ草      苦楽
夏の夢北前船も花街も       あつ子
薫風や遊女を語る道案内      蓮女
夏かもめ遊女の町の高灯籠     千惠子
夏燕潮待ち風待ち港町       瑠美子
夏めくや葉擦れ明るき樗堂墓碑   新治
風薫る御手洗歩き江戸の町     五郎
青嵐江戸の町並み吹き抜けり    晶子

2022/5/22