令和4年9月定例句会

兼題「芋虫」

毛のない蝶蛾の幼虫の総称。緑色が多いが褐色や黒色のものもいる。植物の葉を食す害虫で、時として農作物に大きな被害を与える。揚羽蝶の幼虫は、柑橘類に産みつけられた卵が孵ったもので、柚子坊ともいう。
(合本俳句歳時記第四版より)

このところ夕方や夜中にスコールのように降ることが続いています。今朝もちょっと恐怖を感じるほどの雨音でした。
週明けには台風が近づく予報もあり、落ち着きません。
疫病への警戒と合わせて、災害への備えも、引き続き考えていきたいものです。

兼題の芋虫、いざ観察しようと思ってもなかなか見つからないもの。ユーモラスな姿から色々な想像が膨らんで、多種多様な句が並びました。
芋虫に限らず、蠅とか蚊とか毛虫とか、相手するのも嫌になるような虫たちも、俳句の世界では立派な季語として愛されて(?)います。つくづく、面白い詩の世界だなと思います。

輪になって評を述べ合います
実物は苦手です

主宰の句

柚子坊や枝につまづくことなかれ  日差子

主宰特選句

咲き初めし萩やこころに(うた)を描き  苦楽

柚子坊の蛹となりし星の夜     苦楽

アルバムを開くセピアの秋思かな  苦楽

互選高得点句

毬栗に触るる痛みも拾ひけり   あつ子

悪友も部下を持ちけり鰯雲    明恵

下書きの下書きを書く夜長かな  奈央子

その他のメンバーの句

敗戦日父は無口を貫けり      晶子
あぶれ蚊や閉ぢぐせ強き古語辞典  新治
芋虫になりそこねたる寝覚めかな  雄彦
蜩に見送られたり無人駅      千惠子
芋づるを引くや芋虫手に受くる   はるか
カセットの余白の音や秋の蟬    瑞憲
秋空へ球音跳ぬる母校かな     瑠美子
稲の花咲くを告ぐるか風匂ふ    孝女
秋扇いまだ危険なこの暑さ     五郎
秋茜われに真つ直ぐ飛び来たり   康明

2022/9/3