令和4年10月定例句会

兼題「新蕎麦」

まだ十分に熟さないで少し青みを帯びている蕎麦を早刈りし、その粉で打った蕎麦。「走り蕎麦」ともいう。
(合本俳句歳時記第四版より)

朝晩の涼しさは、いくらかの寒さを帯びるようになり、季節の移ろいを感じます。
一方で昼間の日差しの力はいまだ衰えず、じりじりと刺すようです。

食べ物が題のときは実物を食してから句作したいと思うのですが、新蕎麦は、まだすこし早く、うちの周りでは見当たりませんでした。
これから出てくるでしょうから、楽しみです。

季節を先取りする季語に「走り」という言葉が使われているものがいくつかあります(走り梅雨、新走、走り茶、…)。
昔の人が編み出した表現、面白い感覚だな、と感心してしまいます。

「眼福口福」と表現した人も。
三篠公民館 会議室1(少し声が響く部屋)

主宰の句

新蕎麦や色をあまたの薬味皿  日差子

主宰特選句

秋風の一縷を摑む赤子の手     瑞憲

がちやがちやや既に答のある会議  新治

秋気かなカフェの個室の風景画   奈央子

互選高得点句

朝礼に俳句のはなし秋気澄む  明恵

無花果の傷口めきて艶めきて  明恵

刈残す草を褥の蟲時雨     千惠子

その他のメンバーの句

可惜夜(あたらよ)やいつかを今に虫を聴き    雄彦
晩鐘に揺るるは風や萩零る      苦楽
新蕎麦の幟はためく峠茶屋      瑠美子
買物のメモの最初にある生姜     啓子
今の世は治る結核獺祭忌       孝女
天仰ぐジョンとヨーコの案山子かな  晶子
青空の天まで青く颱風過       康明
手刈り待つ稲穂倒るる車窓の田    五郎
秋の風会話続かず目は泳ぐ      はるか

2022/10/1