令和4年12月定例句会

兼題「蕪」

南欧やアフガニスタンが原産地のアブラナ科の二年草。日本の古名は「すずな」で、古代から食用にされてきた。主として根を食べるが葉も食べられる。根は球形・倒円錐形・円筒形など、表皮の色は白・紅・赤紫などがある。漬物や煮物、蕪蒸しなど、食卓に冬の味わいを添える。「かぶな」ともいう。
(合本俳句歳時記第四版より)

冬の根菜、カブが兼題でした。
食材が兼題になると、投句一覧に美味しそうな言葉が並びます。それぞれの家庭の様子が垣間見えたりして、面白いものです。


季語や例句が載っている本を歳時記といいます。
その季語の季節や、その意味、俳句で使ううえでの本来の意味合い等が細やかに解説されています。
昔から、紙の書籍がたくさん出回っていますが、今はインターネット上でも調べることができます。
(有名なところでは、「きごさい歳時記」等がありますね)

歳時記の中には、春夏秋冬新年の区分があり、それぞれの中が「時候・天文・地理・生活・行事・動物・植物」に分類されています。
例えば、「冬」は時候、「北風」は天文、といった具合です。

私の持っている歳時記では、今回の兼題の蕪は「植物」の項に挙げられていました。
そして、蕪汁や蕪蒸しといった、いわゆる料理は「生活」の項に入っています。
細かいことですが、兼題をとらえるときは、こういった違いも意識することも必要なのかもしれません。


句会後は、来年のスケジュールや係決めを行いました。


今年も、ウイルスのご機嫌を伺いながらの活動が続きました。
一方で、行動制限は求められなくなるなど、息苦しさはほんの少しずつ緩和されているようにも思います。
来年も、大変なこともあるでしょうが、小さな喜びを見落とさないよう、頑張っていけたらと思います。

季語の蕪は「植物」を指すみたい
料理になると「生活」という種類の言葉に

主宰の句

赤蕪を籠盛り市の朝日影  日差子

主宰特選句

聖樹かな星の偏るひとところ  啓子

荒波のあとの細波紙を漉く   瑞憲

一掬の手水に浮かぶ冬の月   苦楽

互選高得点句

色白でふくよかが良し手と蕪     あつ子

物思ひして煮え易き蕪かな      啓子

ポインセチア晩年といふ日々ここに  千惠子

その他のメンバーの句

ぐいと舵切つて呉港しぐれけり   新治
被爆樹の落葉時雨にさす月華    晶子
蕪を削ぐ削げば削ぐほど真つ白に  明恵
妻と行く奈良や湖東の小六月    康明
冬空へ巨大クレーンは手を伸ばす  瑠美子
秋高し故郷伊予の空蒼き      はるか
冬うららタルトくるくる渦巻けり  奈央子
たなびける横雲並べて冬夕焼    孝女
電飾の平和大通り冬の暮      五郎

2022/12/3