令和5年3月定例句会
兼題「目刺」
真鰯または背黒鰯の小形のものに塩を振り、五、六尾くらいずつ、目に竹串または藁を通して一連とし、天日で生干しや固干しにしたもの。鰓から口を藁で刺し貫いて干しあげたものがほおざしである。
(合本俳句歳時記第四版より)
今回から、定例句会は原則、第一日曜日となりました。
食べ物が兼題のときは、できるだけ味わって句を作りたいと思うもの。
普段は素通りするスーパーの干物売場で足を止めてみました。
句のために、わざわざ買う、小さな贅沢です。
目刺を詠んだ句で思い出すのは、
木枯らしや目刺しに残る海の色 芥川龍之介
ですが、こちらは「木枯」が季語ですね。
季重なりということになるのでしょうが、上五の季語に大きな詠嘆があります。
主役の季語にスポットが当たっているか、句を作るうえで考えさせられます。

推し作品を選びあう
主宰の句
目刺焼く首尾一貫のありありと 日差子
主宰特選句
春の夜の神楽こころは指先に 明恵
春光のさゆらぐワイングラスかな 晶子
いつまでもいつまでも好きミモザ咲く 奈央子
互選高得点句
雪なのよ遺影見ながら話す朝 英子
手の甲にリップテスターうららけし 奈央子
路地路地の曲がりを知りて猫の恋 苦楽
父と子の合はぬ目と目や目刺焼く 奈央子
その他のメンバーの句
幾艘も地球をしやくる蜆舟 瑞憲
春炬燵文豪われと共にあり 千恵子
涙より鹹き目刺や給料日 新治
生みくれし母偲ぶ日や牡丹の芽 孝女
狐狸庵の黙の寄り添ふ踏絵かな 裕之
椿落つ「嘉永」と刻む石灯籠 あつ子
小屋の中携帯ガスで目刺焼く 康明
可部峠越ゆれば故郷花馬酔木 瑠美子
豪商の雛の十段飾りかな 啓子
青空に咲くは菜の花土手の上 五郎
2023/3/5
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