作品集

Selection

これまでに生まれた名句の数々をご紹介します。

互選高得点句  平成22年

十二月


独り言返事はいらぬ冬の月   一葉

本堂の点り人なく冬の月    千惠子
   
色を溶く風の日課や散り紅葉  恵子

十一月


国後は指呼の間とぞ渡り鳥       苦楽

さりげなくなにげなく生れ草紅葉    恵子

コンビニに買物ひとつちやんちやんこ  苦楽

十月


こだはりは瑣末と笑ふ秋高し  一葉

応援の声の限りや秋高し    孝子
 
廃線の枕木に萌え草紅葉    千惠子

九月


傾きし北斗七星野分過ぐ     苦楽

蜩やその日暮らしで足るを知る  あつ子

八月


生涯を香水知らぬ母なりき  清女

終戦日遺影の父は二十七   瑠美子

七月 月例句会


閉ざされし此処ぞ我が世の水中花  孝子

十薬の花おしよする裏の木戸    孝女

六月


一村を沈めてダムの五月雨るる  千惠子

更衣脱ぐに脱げざる殻を持ち   恵子

燕の巣確かめくぐる縄のれん   あつ子

五月


奥入瀬や新樹の峪の水奔る    苦楽
      
鳥たちを入れて膨らむ新樹かな  圭介

苺つぶし巧みに言葉そらさるる  洋子

四月


大仏や慈眼も曇る春の塵  正景

幼手に夢握りけり桜貝   正景

三月


帰りなんいざ山笑ふ故郷へ  瑠美子

一望は一枚仕立て草萌ゆる  恵子