作品集

Selection

これまでに生まれた名句の数々をご紹介します。

互選高得点句  平成24年

十二月


廣島牡蠣生るる縁や地震の海   吏美

思ひ出せぬ人に呼ばるる十二月  孝女

十一月 吟行句会
(こぎいでの古田)


煩悩を鎮めて石蕗の地蔵尊  千惠子

四温晴れ辻の地蔵の長寿顔  洋子

十一月


秋深し余白の語る友の文    洋子

空瓶に野の花挿して秋惜しむ  孝子

十月 吟行句会
(若葉の里)


澄む水の行雲映す蓮華鉢  洋子

十月


生きてるぞ五臓六腑に新酒浴ぶ  千惠子

オカリナやいつか秋野の風の笛  あつ子

九月 吟行句会
(妹背の滝)


蒼穹の雲のかなたを舞ふ帰燕   孝女

木洩れ日は水面に流れ秋澄みぬ  洋子

 安芸グランドホテル
秋澄むや雲の影置く神の島    孝子

九月


隣人の住み替はりたり秋桜   豊月

濡れそぼつ地蔵に供花の秋桜  吏美

掬ふ子も逃ぐる金魚も応援す  瑠美子

八月


過去帳の声なき叫びヒロシマ忌   千惠子

白扇子言ひたきことをたたみけり  千惠子

七月 吟行句会
(元宇品公園)


舟虫や逃ぐるが勝ちと孫子云ふ  苦楽

七月 月例句会


風立ちて木洩日揺るる夏木立    千惠子

扇風機風もいつしよに売られけり  千惠子

六月 吟行句会
(門司~長府)


せせらぎの水音懐しや七変化  孝子

幼帝の眠る海峡夏の蝶     瑠美子

六月


二人してただ緑蔭の風に座す  あつ子

目高生る明日は鯨を疑はず   あつ子

五月 吟行句会
(千光寺公園)


故郷を持たぬ芙美子や桜の実  瑠美子

松育て割られし岩や緑雨飲む  瑠美子

五月


割烹着の若き日の母柏餅       千惠子

みづみづしこごみたらの芽(とき)を食ぶ  孝女

癒えし子の走る走るよ夏来る     蓮女

四月 吟行句会
(緑化センター)

花吹雪被りて辿る山路かな    千惠子

野の原にゆかし君なりすみれ草  哲尚

天よりの風の雫か花の降る    苦楽

四月


行く春や案内の美しき京言葉   蓮女

生きてある心温めて春が行く   哲尚

我が生の飛距離どこまで桜散る  恵子

三月 吟行句会
(広島市植物公園)


紅椿遊女の吐血か紅こぼす  瑠美子

大花壇香り黄の色園の春   吏美

植物園彩なす春の物語    千惠子

三月


水温む農事日誌を開き初め    苦楽

啓蟄や生きとし生けるものに歌  あつ子

二月 吟行句会
(縮景園)


梅見茶屋飾れる傘に春の塵  孝女

白梅や花嫁赤き蛇の目傘   蓮女

二月

  
裸婦像のふんはり纏ふ今朝の雪  千惠子

昼下りほどけて匂ふ水仙花    あつ子

一月


焼芋や笑顔もあげる半分こ  あつ子

痛き(とこ)突かれ苦笑の初神籤  孝子

恙なき一日よ夜半の初日記  洋子



 短歌の部

指揮棒のおりても鼓動調はず歓喜の歌に包まれしわれ  一葉

かにかくに不運数多の去年なれど昇龍の勢い欲しき年  吏美



 川柳の部

初春の吾はユニクロ妻グッチ   苦楽

棺桶に入る迄飲めと治療薬    正景

呆け徘徊ならぬようにと今俳諧  洋子