作品集

Selection

これまでに生まれた名句の数々をご紹介します。

互選高得点句  平成25年

十二月


一瞬の慈愛彩ふや冬茜     吏美

むき出しの言葉胸刺す冬薔薇  洋子

 ご主人の逝去を悼み
千恵子思ふ一重は寂し冬桜   苦楽

十一月 吟行句会
(広島東照宮ほか)


義士像に鬨の声あり冬の寺  恵子

十一月


世風舞ふ狐退治の里神楽   あつ子

時といふ戻れぬ旅路返り花  恵子

十月 吟行句会
(安佐動物公園)


身に入むやあるくのみなる象の暇  恵子

十月


秋風を捉へんとして眼鏡屋に    あつ子

なんとなく幸せと余白に書く良夜  洋子

九月 吟行句会
(牛窓一泊吟行)


銀杏の落ちて音無き無縁墓  洋子

九月


目に染むる秋刀魚のけぶり下駄の音  あつ子

秋風鈴外して音も仕舞ひけり     瑠美子

八月


手花火を繋ぐ約しき幼の日   孝子

これ以上たどれぬ記憶雲の峰  恵子

七月 吟行句会
(ひろしま美術館)


館涼しまして青なるピカソの画  洋子

(席題:広・島・市)
市街地の猛暑締め切る美術館   孝子

七月 月例句会


雷鳴や彼方の(そら)に宇宙基地  恵子

お互ひに余生の話冷奴    恵子

六月 吟行句会
(極楽寺~蛇の池)


石仏の黙して並ぶ木下闇  哲尚

六月


ひいふうみいこれぞ至福よさくらんぼ  吏美
    
刈られても踏まれてもただ夏の草    あつ子

五月 吟行句会
(佛通寺)


禅寺を訪ふも安居に縁なき身  孝女

木を仰ぎ開山堂へ梅雨の磴   豊月

五月


母の日や子の幸のみの母の生  恵子

幸せはこんなものかも豆の飯  千惠子

四月 吟行句会
(土師ダム花見)

過ぎ越しを振り返りみて夢見草  瑠美子

四月


風音が今宵落花の音となり   一葉

無縁墓傘さしかける山つつじ  一葉

三月 吟行句会
(福山城)


春昼の織部灯籠(とき)眠る     あつ子

囀りや見上ぐ天守の鯱の反り  洋子

三月


かぎろひて砂丘の上に日本海     正景

風船に数多の風と空をつけ      恵子

のどけしや何処でも止まる島のバス  千惠子

二月

  
針供養(きぬ)縫ふ路を一すじに  豊月
                  
きらきらと雪解雫や白川郷  豊月

一月


千の枝天を突き刺し寒に入る   あつ子

北の部屋寡黙な冬がうずくまり  洋子