作品集
Selectionこれまでに生まれた名句の数々をご紹介します。
互選高得点句 平成27年
十二月 日曜句会
(音を詠む)
耳慣れしいびき安らか賀状書く あつ子
投函のことり音する寒夜かな 千惠子
十二月
あれこれと思ふばかりや十二月 千惠子
今宵また住所録消す年の暮 正景
悲しみは書かず余白の日記果つ 苦楽
十一月 日曜句会
(オノマトペ、色)
立冬やすとんと落ちし夜の幕 一葉
冬の月黒猫消ゆる路地の闇 洋子
十一月
木枯に昔話の途切れがち 新治
一葉忌欠けし櫛まだ捨てられず 一葉
冬日さす無人駅舎の忘れ杖 千惠子
十月 日曜句会
(取り合わせの句)
秋晴れや一気に軽き処方箋 洋子
ゆく秋やヴァイオリンよりチェロが好き 一葉
忘れ得ぬ人なくもなし金木犀 あつ子
十月 吟行句会
(西国街道 己斐)
山路行く足裏に優し落葉かな 千惠子
十月
蓑虫や女は「ノラ」に成り切れず 瑠美子
池の鯉月の鏡を崩しけり あつ子
九月 日曜句会
(取り合わせの句)
啄木鳥や止まりしままの掛時計 一葉
九月 吟行句会
(野呂山)
倒木を沈め山湖の霧時雨 千惠子
九月
朝露の数珠となりゆき地に果つる 欣子
ほどほどの余生よろしく秋の宵 蓮女
八月
盆供養御巣鷹山に老いの足 一葉
幽霊の足の見えたる夏芝居 千惠子
七月 吟行句会
(ゆめタウン廿日市)
サマーフェアー見る人買ふ人笑ふ人 洋子
七月 月例句会
呼び止めて戻り来る子に夏帽子 新治
風といふもてなしもあり夏座敷 洋子
六月 吟行句会
(三次風土記の丘)
古墳群のあるじは知らず夏薊 苦楽
六月
梅雨空の上にあるらし忘れごと 新治
廃校の瀬戸の小島の夏燕 孝子
五月 吟行句会
(宮島)
卯波寄す清盛茶屋の松並木 あつ子
朱の色も茂りも美しき神の島 一葉
五月
七十年を過ぎし広島新樹光 瑠美子
今年から母亡き母の日の余白 あつ子
四月 吟行句会
(広島加賀屋)
風掬ふ細き塗り箸治部煮椀 瑠美子
四月
行く春や履くことの無きハイヒール 豊月
積ん読の一角崩す春の風邪 あつ子
三月 吟行句会
(福山明王院)
風光ることも知らずや墓石群 正景
三月
万華鏡に覗く浄土や花万朶 苦楽
啓蟄の菰脱ぐ松の背伸びかな 孝子
二月
昨日とは違ふ日向や春めける 孝女
春めけし風を踏み込むペダルかな あつ子
弔句
旅立つや冬三日月の舟に乗り 瑠美子
一月
手水舎の龍の水より淑気かな 博望
ねんねこで育てし子等の里帰り 蓮女