作品集
Selectionこれまでに生まれた名句の数々をご紹介します。
互選高得点句 平成28年
十二月
冬うらら乳歯二本の子を抱く 豊月
玄関の小さな靴や春を呼ぶ 松竹
白紙の日も生きてゐたはず古日記 新治
十一月 吟行句会
(平和大通り)
遊歩道あまた落葉の色を踏む はるか
赤と黄競ひし果の落葉かな 孝子
十一月
寺苑掃く箒の音や冬に入る 千惠子
祝福の赤きパレード秋送る 瑠美子
十月 吟行句会
(宇品公園)
魚釣はひとりの思索秋の浜 苦楽
十月
狛犬の見澄ます社叢初紅葉 あつ子
地を突いて風に立ちたり曼珠沙華 あつ子
湯に紅葉浮き沈みつつ廻りつつ 裕志
九月
野分け後の遠き漁火二つ三つ 正景
涼あらた犬の待ちたる立ち話 あつ子
駆け引きの為のルージュや秋日傘 新治
八月
合はす掌に想ふ八月あの忌日 洋子
叩かれて撫でられ西瓜買はれゆく 一葉
七月 月例句会
浜の砂盛る子くづす子雲の峰 洋子
言ひかけて言葉扇にたたみけり 一葉
六月 日曜句会
(桜桃忌、忌日の句)
太宰忌や色褪せ並ぶ文庫本 洋子
忌を修し孫が主役の夏座敷 幸夫
オバマ氏の折鶴よ翔べ広島忌 あつ子
六月 吟行句会
(壬生の花田植)
早乙女や娘は母をよく継ぎぬ 新治
誇らしき飾り牛の歩花田植 孝子
六月
吹き抜ける風も肴や夏料理 あつ子
翡翠や青き光のダイビング あつ子
五月 吟行句会
(鞆の浦・観光鯛網 一泊吟行)
夏燕迷路さながら鞆の町 孝子
あやめぐさ志士の影追ふ鞆の辻 一葉
薫風を分けて渡しの「いろは丸」 あつ子
五月
海持たぬ里に育ちて麦は穂に 瑠美子
薫風を帽子にのせて「ただいまあ」 あつ子
四月 日曜句会
(写生句)
紋白蝶路地より出でて路地に消ゆ 瑠美子
四月 吟行句会
(京橋川沿い)
黒猫もひとりの過客花の径 苦楽
四月
初蝶の光ひとひら花嫁に あつ子
花散るを寡黙になりて見る二人 洋子
老ゆれども桜はさくら俺はおれ 正景
三月 日曜句会
(日常を詠う)
あと一巻き風の手伝ふ春ショール 一葉
席題
きのふけふ桜さくらとたづねけり 蓮女
三月
橋脚をそろりと撫でて春の川 新治
みな古りて夫婦雛のみ飾りけり 正景
春日浴びこのぬくもりに足るを知る 孝女
二月
重力波の揺らぎ億年椿落つ 苦楽
残業の帰路にスピカを探す春 新治
春一番若き句友の快挙なる あつ子
一月 日曜句会
(味覚を詠う)
さみどりの湯気も馳走や七日粥 千惠子
やはらかに臓器目覚むる冬の白湯 新治
一月
一羽来て二羽来て十羽初雀 苦楽
校庭の訓話二百の息白し 洋子