作品集
Selectionこれまでに生まれた名句の数々をご紹介します。
互選高得点句 令和３年
十二月
松山に湯の香パンの香冬ぬくし 瑞憲
雨だれをひがな聴きをり冬障子 千惠子
報恩講灯りの揺らぐ花頭窓 瑠美子
小春日や写真飾るに良き窓辺 はるか
花八手鈴振る巫女の手の白き 苦楽
十一月
新米を計るに音の輝ける 新治
艶やかな掛け声響き走り蕎麦 晶子
踏切の音の鋭角冬に入る 苦楽
十月 吟行句会
（三瀧寺）
三瀧寺に心の掃除もみぢ坂 五郎
秋寂ぶの峽の瀬音や「空点庵」 苦楽
死者生者共に合掌紅葉寺 晶子
秋冷やせせらぎにそふ手摺持ち 蓮女
十月
マカロンを供へ令和の月見かな 啓子
秋を病むラファエルといふ薔薇ふふみ 晶子
古地図めくトーストの焦げ秋の朝 新治
九月
秋雨に傘独りといふ結界 瑞憲
散ると云ふ美へのオマージュ大花火 苦楽
八月
玉の汗オリンピックの無観客 五郎
万の向日葵沈黙といふ抗議 瑞憲
刷毛雲の青に溶けゆく今朝の秋 苦楽
風鈴や逢魔が刻の風の道 晶子
七月 吟行句会
（夏の海を愛でる～宇品公園）
晩夏光出船入船元宇品 瑠美子
潮寂びの浜の砂紋や夏の果 苦楽
岩礁は波の社交場夏の昼 新治
七月 月例句会
逆上がり夏雲にドロップキック 瑞憲
万緑を背負いて軽き山路かな 千惠子
六月 吟行句会
（津和野）
興亡を語る城址や靭草 苦楽
梅雨深し津和野に隠れ切支丹 豊月
六月
レース編みこころ模様を整ふる 晶子
背筋がプールの水を割つていく 瑞憲
薫風に肌甦る畑仕事 孝女
芍薬の雨後の乱れや晶子の忌 苦楽
五月 吟行句会
（世界遺産 石見銀山）
万緑や石見の国の赤瓦 苦楽
羅漢像笑顔泣顔若葉風 千惠子
五月
廃村を巡る瀬音や踊子草 新治
たかんなや水の滴る無精髭 あつ子
母の日や母の知らざる街にゐて 奈央子
四月 吟行句会
（花見リバークルーズ）
禎子の像
鐘の音や落花ひとひら祈りへと 苦楽
春風やSUPの櫂の間の緩び 新治
四月
出陣の顔して孫は新社員 はるか
「ミサソレムニス」四月の空の震へをり 苦楽
飼い猫に残る野生や忘れ霜 瑞憲
別れ霜次の幸せ取りに行く 晶子
三月 吟行句会
（メンバー二方の結婚を祝いて）
幸せのいま囀りの二重奏 日差子
うつくしき日や神奈備の山笑ふ 新治
春の日の新芽の如き門出かな 奈央子
三月
京雛や袖垣に差す日の甘さ 新治
古戦場と聞きたる野辺の青き踏む 千惠子
雛壇もつかまり立ちの一つかな 瑞憲
二月 吟行句会
（二月二三日の中国新聞一面記事より）
すめろぎを寿ぐ国旗草青む 苦楽
啓蟄や紙面の活字動めける 千惠子
二月
佳き噂うぐひす餅に噎せながら 新治
一滴の音に始まる雪解かな 苦楽
山籟を縦に束ねて瀧凍つる 千惠子
一月
日の中に寒梅ららら咲いて白 あつ子
バラードのサビゆたかなる息の白 瑞憲