作品集

Selection

これまでに生まれた名句の数々をご紹介します。

主宰特選句  平成30 年

十二月


窓際の席取つてゐる手套かな      新治

北風や跳ね橋に見る橋の腹       新治

冴ゆる夜や階下のジャズのきれぎれに  洋子

十月


鳥瞰の瀬戸の暮色や雁渡る   苦楽

曼珠沙華鉄路は風の路となり  あつ子

別れてはまた巡り合ふ秋の蝶  晶子

八月


「川風も馳走どすえ」と川床料理  千惠子

熱帯夜色ある夢も無き夢も     洋子

帰省子といふも二人の子を育て   豊月

六月


万緑へ飛び込むボール飛び込む子  新治

青葉風水棹もて指す長屋跡     新治

濁点か半濁点か黴の古書      新治

四月


のどけしや風を相手の舫ひ舟     千惠子

分かち合ふ悲しみひとつヒヤシンス  晶子

句帳閉づ初音一声とどむかに     苦楽

二月


下萌や三尺の子のまた転ぶ  新治

鬼瓦の角へ眉間へ牡丹雪   新治

冬籠祖父の日記の続け文字  孝女